欲しかったのは10分

僕らは飲み会で知り合った。
彼女の名前はチカ。
僕らはお互いに、人数合わせとして飲み会に参加した。
飲み会は盛り上がったまま一次会を終え、二次会へと流れた。

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彼女は他の女性とは違う、独特な雰囲気を放っていた。
そしてその空気感に僕は、視線を奪われた。
僕が二次会へ参加するかどうかは、彼女の行動次第だった。
中心人物の女性に参加を求められた彼女は、小さな声で参加意思を示した。

僕は彼女に便乗したことを悟られぬよう、少し時間を空けてから参加することを伝えた。
二次会で行ったバーで、僕らは特に何も話さないままキスをした。
雰囲気に流されたと言うのが正しいのかもしれない。

でも僕らの間には、運命的な何かがあるような気がした。
僕らは一緒に帰ることはせず、連絡先を交換して別れた。
翌日連絡をして、彼女が数日後に留学することを知った。

僕らは再会することなく、彼女は日本を発った。
酔っぱらったある日、僕は彼女に電話をかけた。
僕らは昔からの友達のように話した。
僕は仕事の愚痴を言って、彼女は留学先での話をした。

その日から頻繁に電話をするようになった。
話す内容は、お互いの他愛もない日々。
時差を合わせる為に、僕は早起きをして出社前に電話をかけた。
毎日十分。それだけの時間が僕らをつないでくれた。
半年近く経った頃、仕事が忙しくなり電話の入れ違いが続いた。

電話をしなくなって、気づけば三ヶ月が経った。
「帰ってきたよ」彼女からそう連絡が届いた。
「おかえり」僕はそう返して彼女からの返信を待った。
でも僕らはそれから会ってはいない。

会いたくても会えなかったあの頃とは違い、
今は会おうと思えば会える。
でも僕らはまだ、再会することが出来ずにいる。